売却も建築も難しい──そんな土地でも、実はシンプルに「貸すだけ」で安定収入が得られる方法があります。埼玉県川口市のこの事例では、住宅地に近接した工業地域の空き地を「資材置き場」として地元建設会社に賃貸することで、月数万円の安定収入を実現しました。
この記事では、土地の状況、活用に至った経緯、収益構造、そして条例上の注意点まで詳しく解説します。
土地の概要と立地条件
所在地 埼玉県川口市(住宅地と中小企業の工場・倉庫が混在するエリア)
土地の広さ およそ100坪(約330平方メートル)
形状 ややいびつな台形。大型建築には不向き。
前面道路 幅員4mの私道に面する
周辺状況 地元の土木・建設業者が多く所在
所有者は長年放置していたこの土地について、管理の手間・固定資産税の負担からどうにか収益化したいと考えていました。
実際にどう活用したのか?
建設業者に知人がいたことをきっかけに、「仮設資材や車両の保管場所が足りない」という声を聞き、資材置き場としての貸し出しを検討。
1.土地を簡易整地(砕石敷設のみ)
2.フェンスと簡易ゲートを設置(防犯対策)
3.事業用賃貸契約を締結(月極契約)
4.契約内容には利用目的・時間帯・騒音・ゴミ処理の制限を明記
契約から1ヶ月以内に利用開始され、トラブルもなく安定運用が続いています。
収益と運用の成果
賃料 月額7万円(年間84万円)
初期投資 約60万円(砕石・フェンス・契約手数料など)
管理コスト 年1〜2回の草刈り、巡回程度(年間約5万円)
回収期間 およそ1年で初期投資を回収
周辺相場と比べても良心的な賃料設定で、長期契約の継続が見込めています。
メリット・デメリットと注意点
メリット
・建築を伴わないため許認可のハードルが低い
・狭小地や変形地でも始めやすい
・地元企業と直接契約すれば空室リスクが低い
デメリット
・資材の種類・騒音・景観など周囲への配慮が必要
・フェンスや整地など最低限の初期投資は必要
・川口市では資材置場設置には市長の許可が必要と定められている(2023年4月以降)
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この土地活用が向いている人
・土地はあるが建築費用をかけたくない方
・地元の業者とつながりがある、または紹介が受けられる方
・郊外や準工業地域に空き地を持つ方
騒音や安全対策を管理できるのであれば、非常に実用性の高い活用法です。
まとめ
資材置き場としての活用は、整地と最低限の設備投資だけで始められる、堅実な土地活用方法です。特に工業地域や郊外では需要が安定しており、長期契約につながりやすいのも魅力です。
ただし、条例や周辺環境への配慮は不可欠です。
とくに今回事例にあげた川口市には「資材置場の設置等の規則に関する条例」が施行されており、設置には市長の許可が必要です。
こうした事前の許可取得がスムーズな土地活用において重要なステップになります。
手間を最小限に抑えながら土地を有効活用したい方にとって、有力な選択肢となるでしょう。