駐車場経営をする際に「駐車場料金をいくらで設定するか」という話題は必ず直面する重要な要因です。
料金が高すぎれば利用者の利用が減る、逆に低くすれば純利益が減ってしまう。
結果として駐車場経営で思ったような利益獲得ができなくなっていくでしょう。
繊細なバランスを要求される駐車場の価格設定では、近隣地域の相場の情報を入手することが必要不可欠です。
こちらの記事ではそんな駐車場料金の考え方について詳しく解説いたします。
駐車料金の相場とは
駐車場料金の相場とは、経営する駐車場の近隣の駐車場の平均価格です。
は土地代を踏まえた価格で設定しないといけませんので、慎重に決めていきましょう。
駐車場料金は近隣地域の相場を参考に設定します。
もしも相場から外れた金額に設定してしまった場合、利用者が離れる可能性があります。
■主要都道府県の駐車場相場一覧
下記は主要な都道府県の駐車場の相場の一覧になります。
だいぶ価格が変動していますが、人口量や立地、土地の価格によっても変わりますので大体の金額として頭に入れておくといいでしょう。
月極駐車場 | コインパーキング | |
北海道 | 2,000~9,051円 | 400~600円 |
東京 | 3240~30,815円 | 600~1200円 |
愛知 | 2,500~14,137円 | 300~600円 |
大阪 | 4,000~25,433円 | 600~1200円 |
福岡 | 3,900~11,992円 | 300~600円 |
■土地の立地条件
土地代というのは同じ県内でも大きく違う場合があります。
これは立地条件がよい場合ほど土地代は高くなる傾向があります。
■良い立地条件とは
・治安が良い
・生活環境が充実している
・交通の利便性がよい
・自然災害の危険性が低い
※このほかにも、駐車場以外の土地運用をする場合、条件が変わる場合があります。
逆に悪い立地条件が重なると価格が低くなりますが、利用者が減ってしまう原因となります。
下記に悪いとされる立地条件をまとめました。
■悪い立地条件とは
・治安が悪い
・生活環境が充実していない
・交通の利便性が悪い
・自然災害の危険性が高い
・周辺環境からの騒音がひどい
※このほかにも、駐車場以外の土地運用をする場合、条件が変わる場合があります。
駐車料金の決め方
また同じ駐車場でも、月極駐車場とコインパーキングでは考え方が異なります。
この項目ではそれぞれの駐車料金の決め方を解説いたします。
月極駐車場
月極駐車場の料金を決める際に重要なのは
利用者にとって毎月の固定費となることを考慮した金額ということです。
長期的な利用者をターゲットとしている月極駐車場なので、周囲の駐車場との料金との比較をより念入りに行う必要があります。
駐車場の利用者は少しでもいい条件、少しでも安いところと契約しておきたいという方が多いので他のところと比べて料金を高く設定していると利用者から不満の声が上がったり最悪の場合、契約を解除されることも考えられます。
また、金額だけでなく下記のような設備があるかどうかも利用者から選ばれやすいポイントとなるようです。
・舗装されているか
・屋根があるか
・管理体制、設備は十分か
周囲の駐車場の価格だけでなく、こういった設備の面でも比較を忘れないようにしてください。
コインパーキング
コインパーキングでの料金設定の際に重要なのは
料金の上限の低価格化と時間の単位を長めに設定することです。
コインパーキングも月極駐車場と同じように近隣駐車場との比較が大事になってきますが、場所によっては多少高額で設定されていても利用しやすい場所であれば、利用される機会があります。
例えば近くにオフィスがある会社の社用車が止まったり、その会社に訪問された会社様の社用車が止まったりする場合が挙げられます。
ただし、飲食店などの回転率が速い店舗が多い地域ではこの限りではないので、利用者の層やその目的を認識した上での料金や時間を設定するようにしましょう。
■通常料金
通常料金とはあらかじめ設定された利用時間あたりの料金ごとに利用した時間分の料金が加算されていきます。
ですが利用する時間帯によっては料金設定が異なっていることもあります
下記の様に計算し、利用者に料金を支払ってもらいます。
《料金設定例》
10:00~24:00までは日中料金として1時間600円
24:00~5:00までは深夜料金として1時間400円
5:00~10:00までは早朝料金として1時間500円
・8:00~17:00までの利用の場合
早朝料金の時間帯と日中料金の時間帯をまたいでいるので、それぞれの料金を合算した料金になります。(※最大料金は設定されていないものとする。)
早朝料金 500×2時間=1,000円
日中料金 600×7時間=4,200円
総計 (500×2時間=1,000円)+(600×7時間=4,200円)=5,200円
このほかにも曜日や時間帯による料金変動などを設定しているコインパーキングもありますので、経営前の周辺調査をしっかり行ってください。
■最大料金
最大料金とは時間ごとに加算される通常料金が一定の金額に到達した際、それ以上の金額が加算されなくなるシステムです。
通常料金と同じく、利用する時間帯によって異なった最大料金が設定されていることもあります。
《料金設定例》
10:00~24:00までは日中料金として1時間600円、最大料金2,000円
10:00~17:00までの利用の場合 600×7時間=4,200円となるが、
最大料金が2,000円なので2,000円以上払わないでよいとなります。
ただし最大料金が設定してあるコインパーキングでは1日を超えて駐車していた場合、下記の様になるケースがあります。
①最大料金が繰り返し適用される場合
②最大料金が適用されない場合
①の場合では二日間利用した場合は二日間分の最大料金を支払えばいいのですが、②の場合では料金が高額になるケースがあります。
こうした内容は後々料金関連のトラブルの種になりやすいので、看板や料金の支払いの際に目に入る位置などに必ず記載するようにしましょう。
駐車料金の値上げについて
また、長く駐車場を経営しているとどうしても駐車場料金を値上げしなければならないというタイミングがあるかと思います。ですが安易に急激な値上げは行わないようにしてください。
その値上げをすることによって利用者が離れていってしまう可能性があります。
最初に駐車場料金を設定したときの様にまずは近隣駐車場の価格を調査することろから始めましょう。
月極駐車場
経営している駐車場で空きができるまで待っている「空き待ち」の状態の人が多くなってきたと感じたときはあなたの駐車場の需要が高まっているときです。駐車場の値上げを考え出すいいきっかけとなります。また値上げに踏み切る際には解約が起こらないように利用者に不満のない値上げをするようにしましょう。
■値上げのタイミング
月極駐車場での円滑な値上げができるタイミングは以下のとおりです。
・新規契約者募集時
・規約更新のタイミング
・駐車場内のレイアウト変更時
・駐車場内の設備の一新
・駐車場の空き待ちが発生
・増税のタイミング
・周辺の競合駐車場の賃料上昇時
■スムーズに駐車場の値上げを行うコツ
駐車場の値上げをスムーズに行うためには以下の3つのコツを押さえておきましょう。
・値上げの可能性を契約書に記載する
解約期間中の値上げは基本的に行うことができません。
ですが契約中に増税などの値上げの原因が発生してしまう場合があります。ですので契約書には前もって下記のような内容を明記しておくことで無用なトラブルを減らすことができます。
契約期間中に消費税が増税された場合、駐車場賃料を増額する
契約期間中に公租公課の変更などにより、駐車場賃料を増額する
・周辺相場の調査で駐車場料金を決める
急激な値上げを行うと利用者の解約につながる可能性もあります。こうした事態を避けるため、周辺相場の調査は必須です。その際、駐車場の賃料だけでなく設備や環境にも目を向けて調査を行ってください。
その際に自身の経営する駐車場より設備や環境が整った駐車場が見つかった場合、その料金設定が同じ程度であれば値上げはかなり難しくなります。
・値上げ金額を一定しなくてもいい
賃料は全スペースごとに決められるので、同じ料金にする必要はないです。
例えば駐車しにくいスペースは比較的安い賃料に、逆に駐車しやすいスペースは同じ駐車場内でも高めの賃料での貸し出しを行っても問題ありません。
■値上げに関する事前告知義務
また値上げをする際の事前告知義務はありませんが、トラブルを避けるために利用者に対し、3か月~6か月程前から値上げの件に関して事前告知をするとよいでしょう。
コインパーキング
経営しているコインパーキングの周辺環境で駐車場数が減少した、大きな商業施設ができて駐車場が足りないなどといったタイミングがコインパーキングの「駐車需要が高まってきた」ときです。
こういった状況に陥る前に駐車料金の値上げを検討しましょう。
■コインパーキングの値上げのタイミング
コインパーキングの値上げは月極駐車場に対して、オーナーの意志でいつでも変更が可能です。
ですが急激に値上げしてしまうと利用者の離脱につながってしまうため、こちらでも周辺環境の調査などを慎重に行う必要があります。
■コインパーキングの値上げの際のポイント
コインパーキングの値上げに踏み出したいが、利用者の契約解除のきっかけになると聞いて二の足を踏んでいるようでしたら下記のポイントに注意して値上げを行ってください。
・競合駐車場を意識した料金設定
・周辺環境の需要の再調査