駐車場経営は、土地を有効活用しながら安定した収益を得られるビジネスとして注目されています。
特に都市部や交通量の多いエリアでは駐車スペースの需要が高く、効率的な運営により継続的な利益を生み出すことが可能です。
これに加え、駐車場経営ではメインである駐車料金以外の収益源も取り入れることで、収益性をさらに向上させることができます。
この記事では、駐車料金以外の収益源の種類と収益額がどの程度なのか、またそれらの収益源を増やす方法について具体的なアイデアや注意点などを詳しく紹介します。
関連:駐車場経営の収入額はいくら?収益を左右する運営モデル別収入内容・特徴を徹底解説
駐車料金以外の収益源を増やす具体的な方法
駐車場経営をさらに効果的に運営するためには、駐車料金以外の収益源を取り入れることが重要です。
以下のような方法を組み合わせることで、収益を多様化し、経営の安定性を高めることができます。
それぞれの手法は地域特性や駐車場の規模によって適用可能性が異なるため、環境に合ったものを選ぶことがポイントです。
広告収入の導入
駐車場のスペースを活用して広告を掲示することで、追加の収益を得ることができます。
・看板広告や壁面広告
地元企業や店舗の広告を設置し、月額契約で収入を得る方法です。
例えば、1広告あたり月額5,000円の契約を10件獲得すれば、月間50,000円の収入となります。
・デジタルサイネージ
電子ディスプレイを設置し、複数の広告を表示することで、1枠あたり月額3,000円の契約を20件獲得すれば、月間60,000円の収入が見込めます。
・駐車券やレシート裏面広告
発券機から出る駐車券やレシートに広告を印刷し、1社あたり月額2,000円の契約を15件獲得すれば、月間30,000円の収入となります。
物販・サービス提供
駐車場を利用する顧客の利便性を高めながら、売上を向上させる方法です。
・自動販売機の設置
飲料やスナック類を提供する自動販売機を設置し、月間売上が100,000円の場合、オーナーの取り分が20%とすると、月間20,000円の収入が得られます。
関連:駐車場ビジネスを加速!自動販売機設置までの流れと業者選びのやり方
・カーケア商品の販売
車用の消臭剤やガラスクリーナーなどを販売し、月間売上が50,000円で利益率が30%の場合、月間15,000円の収入となります。
・シェアサービスの導入
電動キックボードや自転車のレンタルを提供し、1日あたり5台の利用があり、1回の利用料が500円の場合、月間75,000円の収入が見込めます。
EV充電ステーションの設置
電気自動車(EV)の普及が進む中、充電スポットを設置することで新たな需要を取り込む可能性を広げられます。
また、充電中の車の近くにコーヒースタンドのようなものがあれば利用者が立ち寄る可能性もありますし、チラシなどの掲示物・配布物を設置するスペースを提供することで広告収入のきっかけを得ることができます。
・設置コストの補助金活用
国や自治体の補助金を活用し、初期投資を抑えることが可能です。
・収益化のポイント
1回の充電で利用者から500円を徴収し、1日あたり10回の利用があれば、月間150,000円の収入となります。
関連:【EV充電器で収益UP】コインパーキングに充電器を導入するメリット
スペース活用による収益増加
駐車場の一部を有効活用することで、さらなる収益を生み出す方法です。
・イベントスペースとして貸し出し
フリーマーケットや地域イベントの開催場所として提供し、1回の貸出料を50,000円とし、月に2回利用があれば、月間100,000円の収入が得られます。
・ポップアップ店舗の誘致
フードトラックや季節限定のショップにスペースを貸し出し、1店舗あたり日額10,000円で、月に10日間利用があれば、月間100,000円の収入となります。
・コインロッカーの設置
買い物客や観光客向けに荷物を預けられるロッカーを提供し、1日あたり20回の利用があり、1回の利用料が200円の場合、月間120,000円の収入が見込めます。
オンライン予約システムの導入
事前に駐車スペースを予約できるシステムを導入することで、より効率的な運営が可能になります。
・プレミアム料金設定
通常料金に加えて予約手数料を設定し、1日あたり10件の予約があり、1件あたり200円の手数料を徴収すれば、月間60,000円の収入となります。
・利用率の向上
予約システムにより稼働率が向上し、月間収入が20%増加すれば、例えば通常月間収入が500,000円の場合、100,000円の増収
太陽光発電の活用
駐車場の屋根部分にソーラーパネルを設置することで、再生可能エネルギーの売電収益を得ることができます。
・初期投資と設置の概要
ソーラーパネル設置の初期費用は、規模によりますが、おおよそ1kWあたり20万円~30万円が一般的です。
例えば、駐車場の屋根を利用して10kW分のソーラーパネルを設置する場合、設置費用は200万円~300万円程度です。
この初期費用は国や自治体の補助金を活用することで、大幅に削減することが可能です。
・収益モデル
売電収益
発電した電力を電力会社に売却する場合、1kWあたりの売電単価は固定価格買取制度(FIT)を利用すると20円前後(地域や契約条件による)です。
10kWの設備が1日に4時間発電すると仮定すると、1日の発電量は40kWhです。
売電単価20円で計算すると、1日の収益は40kWh × 20円 = 800円となります。
1か月(30日)では、800円 × 30日 = 24,000円の売電収益が見込まれます。
年間収益は24,000円 × 12か月 = 288,000円となります。
電力の自家消費
駐車場内の照明やEV充電ステーションの電力として利用することで、電力コストを削減することが可能です。
例えば、月間電力使用量が500kWhで電力単価が25円の場合、500kWh × 25円 = 12,500円のコスト削減が期待できます。
売電と自家消費を組み合わせることで、収益とコスト削減を同時に実現することが可能です。
・利回りと投資回収期間
設置費用を200万円と仮定し、年間売電収益が288,000円の場合、約7年で初期投資を回収できる計算になります。
補助金を利用して設置費用を150万円まで抑えた場合、回収期間は約5年に短縮されます。
・その他のメリット
環境に配慮した取り組みとして地域や顧客からの評価が高まり、他の駐車場との差別化につながります。
ソーラーパネル設置による屋根の日陰効果で、駐車場の温度上昇を抑え、利用者の快適性向上にも貢献します。
成功事例の紹介
この項目では駐車場経営で収入源を多様化し、具体的な成果を挙げた事例を収益金額とともにご紹介します。
広告収入の活用で収益増加したケース
・事例
ある都市部の駐車場では、壁面スペースに看板広告を設置し、地域の店舗や企業に広告枠を販売しました。
・収益詳細
1広告枠の月額契約料金:10,000円
広告スペース数:5枠
月間収益:10,000円 × 5枠 = 50,000円
年間収益:50,000円 × 12か月 = 600,000円
さらに、駐車券の裏面に広告を印刷し、1枠あたり月額5,000円の契約を10件獲得した結果、追加で月間50,000円、年間600,000円の収益を実現しました。
・合計年間収益:1,200,000円
自動販売機の設置で利便性向上と収益確保に成功したケース
・事例
郊外の駐車場に飲料の自動販売機を設置し、駐車場利用者に加えて周辺住民の需要も取り込みました。
・収益詳細
自動販売機の月間売上:120,000円
オーナー取り分(売上の20%):120,000円 × 20% = 24,000円
年間収益:24,000円 × 12か月 = 288,000円
・合計年間収益:288,000円
EV充電ステーションの導入で新規顧客層を獲得できたケース
・事例
電気自動車の普及に伴い、EV充電スポットを3台設置。近隣の住宅地からの利用が増加しました。
・収益詳細
1回の充電料金:500円
1日の利用回数(3台分):15回
1日の収益:500円 × 15回 = 7,500円
月間収益:7,500円 × 30日 = 225,000円
年間収益:225,000円 × 12か月 = 2,700,000円
・合計年間収益:2,700,000円
イベントスペースとしての活用で地域活性化と収益増に成功したケース
・事例
駐車場の一部をフリーマーケットや地域イベントの開催スペースとして貸し出し、利用頻度を向上させました。
・収益詳細
1回の貸出料金:50,000円
月間利用回数:2回
月間収益:50,000円 × 2回 = 100,000円
年間収益:100,000円 × 12か月 = 1,200,000円
・合計年間収益:1,200,000円
オンライン予約システムの導入で効率的な運営と収益向上できたケース
・事例
事前予約が可能なシステムを導入し、ピーク時の利用率を向上させました。
・収益詳細
通常の駐車料金に加えた予約手数料:1件あたり200円
1日の予約件数:15件
1日の追加収益:200円 × 15件 = 3,000円
月間追加収益:3,000円 × 30日 = 90,000円
年間追加収益:90,000円 × 12か月 = 1,080,000円
・合計年間収益:1,080,000円
収入多角化における注意点
駐車場経営で収入源を多角化する際には、さまざまな側面を考慮する必要があります。
ここでは、事前に検討すべきポイントや注意点をいくつか挙げます。
初期投資と運用コストのバランス
・初期費用の把握
EV充電ステーションやデジタルサイネージなど、高額な設備の場合、導入費用を事前に精査する必要があります。
・運用コストの計算
設備の維持管理や電気代など、長期的な運用費用を考慮することが重要です。
・補助金や助成金の活用
国や自治体の補助制度を活用することでコストを抑えられる場合があります。
地域特性に合った施策の選択
・需要の確認
EV充電ステーションを導入する場合、周辺に電気自動車の利用者がいるかどうかを調査。
・顧客ニーズの把握
観光地ではコインロッカーや荷物預かりサービスが適している場合がありますが、商業地域では物販や広告収入が効果的です。
・競合の分析
周辺に同様のサービスがある場合、差別化できるポイントを見つけることが必要です。
維持管理と品質の確保
・定期的なメンテナンス
EV充電ステーションや自動販売機などの設備は、定期的な点検が必要です。
・清潔感の維持
駐車場全体の環境を整え、利用者が安心して利用できる空間を提供することが大切です。
・サービス品質の管理
広告やイベントスペースの貸し出しなどで信頼性を維持することが重要です。
法規制や許認可の確認
・広告掲示に関する規制
地域によっては屋外広告物の設置に制限がある場合があります。
・イベント開催における許可
イベントスペースとして活用する場合、騒音や交通の影響について事前に許認可を取得する必要があります。
・電力供給に関する規定
太陽光発電やEV充電ステーションの設置には電力関連の規制が関係することがあります。
収益性とリスクの見極め
・収益予測の設定
初期投資に対する回収期間や期待される収益を具体的に計算。
・リスク管理
利用者が少なかった場合の対応策や収益が伸び悩んだ際の対策をあらかじめ準備しておく。
駐車場経営の将来性と展望
駐車場経営は、交通や都市環境の変化に伴い、大きな進化が期待される分野のひとつです。
この項目では、今後のトレンドや可能性について解説します。
自動運転車の普及による変化
自動運転技術の進化により、駐車場の利用形態が大きく変わる可能性があります。
・自動駐車システムの導入
自動運転車は効率的にスペースを活用できるため、駐車場の収容能力が向上することが予想できます。
・パーキングの待機拠点化
自動運転車が乗客を降ろした後、充電や待機のために駐車場を利用する需要が増加するでしょう。
・専用インフラの必要性
自動運転車向けの充電ステーションや専用エリアが求められるようになることが予想できます。
電気自動車(EV)の普及
世界的にEVの普及が加速する中、駐車場経営にも影響を与えています。
・EV充電ステーションの需要拡大
多くのドライバーが駐車と同時に充電を行うことを求めるようになり、充電設備の重要性が増しています。
・エコ意識の高い利用者層の取り込み
EVの普及により、環境配慮型の駐車場が注目されるようになり、社会的な評価向上にもつながります。
スマートシティ化と駐車場の役割
スマートシティの進展に伴い、駐車場も都市インフラとして新しい役割を果たすことが期待されています。
・スマートパーキングシステム
駐車場の空き状況をリアルタイムで把握し、利用者に効率的な案内を提供するシステムの導入が予想できます。
・都市データの活用
駐車場の利用データを収集・分析することで、交通渋滞の解消や都市計画の改善に貢献することができます。
・多機能施設化
駐車場が充電スポットや荷物受け取りステーション、モビリティの拠点として活用される可能性があります。
新しいビジネスモデルの可能性
技術革新や社会の変化により、駐車場経営にはこれまでにないビジネスチャンスが生まれています。
・モビリティサービスとの連携
カーシェアやライドシェアと連携したサービスを提供することで新たな客層を獲得することができます。
・物流拠点としての活用
駐車場が配送ドライバーの拠点や一時的な保管場所として活用される可能性があります。
・エネルギー供給基地
太陽光発電や蓄電池を活用し、地域に電力を供給するインフラとしての役割を担ってくれるでしょう。
持続可能な駐車場運営
環境や社会に配慮した駐車場経営が、将来的にはますます重要視されるでしょう。
・カーボンニュートラルへの対応
太陽光発電や省エネルギー設備を導入することで、CO2排出削減に貢献することができます。
・地域社会との連携
地域イベントのスペース提供や地域活性化への貢献を通じた社会的評価の向上が見込めます。
まとめ
駐車場経営における収入の多角化は、安定した収益を確保し、事業の成長を促進するための重要な戦略です。
広告収入の導入や物販・サービスの提供、EV充電ステーションの設置など、多様な方法があります。
これらの施策を実施する際には、初期投資や運用コスト、地域特性、法規制などの要素を慎重に検討することが求められます。
また、成功事例から学び、将来の技術革新や社会の変化に柔軟に対応する姿勢も重要です。
これらのポイントを踏まえ、適切な計画と実行を行うことで、駐車場経営の収益性と持続可能性を高めることができるでしょう。
「駐車場経営は儲からない」と言われることがありますが、本当にそうでしょうか?これは立地や運営の工夫次第で大きく結果が変わる事業です。不安を取り除き、収益性を最大化するためのヒントを提供します。
関連:駐車場経営は本当に儲からないのか?その理由と対策を徹底解説