駐車場経営は不動産投資の中でも初期費用が少なく始められるため比較的ローリスクだと言われています。
しかし、それと同時に駐車場経営は税金負担が大きいとも言われています。
では、実際に『どのような税金が課されるのか』『節税は可能なのか』が気になりますよね。
本記事では、駐車場経営を運営していくにあたって課される税金の種類と知って得する節税方法についてご紹介します。
すでに駐車場経営を始めている方もこれから始めようと思っている方も是非参考にしてみてください。
駐車場経営でかかる税金
駐車場経営には様々な税が課されます。収入額によっては課されないこともあります。
自分の不利益にならないためにもそれぞれの税金についておおまかな特徴は理解しましょう。
固定資産税
総務省は、固定資産税を以下のように定義しています。
固定資産税とは、固定資産の所有者が、固定資産の資産価値に応じて算定された税額をその固定資産の所在する市町村に納税する税金です。
毎年1月1日現在の固定資産の所有者に対して、市町村が課税する税金です。
固定資産税の納税時期としては、4月頃に市町村から納税通知書が通達され、
収めるという形です。
固定資産税は、標準税率である1.4%が原則だとされ、課税標準額に乗算して求めることができます。
ですから、例えばAさんの所有する土地の評価額が(課税標準額)5,000万円だとすると固定資産税は以下により求めることができます。
課税標準額×1.4%=固定資産税
例)5,000万円×1.4%=86万円
つまり、Aさんの固定資産税は86万円ということになります。
償却資産税
償却資産税とは、固定資産税の一部で土地や建物意外にかかる税金です。
具体的には、精算機や柵・フェンス、防犯カメラやライトなどがあります。
償却資産を所有されている方は、毎年1月1日現在所有している償却資産の取得年月・取得価額・耐用年数等を1月31日までに償却資産の所在する区の都税事務所に課税標準額の大小関係なく申告する必要があります。
各償却資産の耐用年数は法令で定められています。
例えば、照明の耐用年数は6年です。
耐用年数に合わせた買い替えをすることで償却資産を効率よく抑えることができます。
ただし、償却資産を持たない場合や課税標準額が150万円未満の場合は課されません。
償却資産税の算出方法は、固定資産税同様です。
都市計画税
都市計画税は、都市計画事業又は土地区画整理事業に要する費用に充てるために、目的税として課税されるものです。
例えば、都市計画区域のひとつである市街化区域内に駐車場を持っている場合に課税されます。
市街化区域とは、すでに市街地を形成している区域と、おおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域だとされています。
簡単に言えば、人や商業施設の多い活性化した地域もしくはそれが予定されている地域にある駐車場には課税される税金ということです。
税率は市町村によって異なりますが、0.3%が制限税率であるためそれ以下の設定となっています。
課税標準額(評価額)×0.3%=税額
消費税
消費税とは、商品・製品の販売やサービスの提供などの取引に対して課税される税金を指します。
具体的に、償却資産税と同様精算機や柵・フェンス、防犯カメラやライトなどの土地以外にかかる設備に課税されます。
駐車場経営による賃料収入は課税対象ですが、得られる収入が1,000万円を超えなければ納税義務はありません。
消費税の算出方法は以下です。
税抜き価格×0.08=消費税
所得税
所得税とは個人の所得に対してかかる税金です。
1年間の全ての所得から所得控除を差し引いた残りの課税所得に税率を適用し税額を計算します。
課税所得 × 税率 – 税額控除額 = 所得税
税率は所得によって異なります。以下は国税庁より引用した所得税の速算表です。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円 から 1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円 から 3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円 から 6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円 から 8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円 から 17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円 から 39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円 以上 | 45% | 4,796,000円 |
駐車場経営でできる税金対策
駐車場経営ので課される税金にはマンション経営やアパート経営と違いもともと決まっているような軽減措置がありません。
したがって、意図的に税金対策していかなければいけないのです。
駐車場を住宅用地として認めてもらう
駐車場自体には、税金の軽減措置はありません。
しかし、住宅用地では固定資産税や都市計画税の軽減措置が存在します。
住宅用地とは、居住のための建物があり居住の目的を果たすために使用されている一画地の土地をいいます。
住宅用地の具体的な軽減率は以下です。
固定資産税 | 都市計画税 | |
小規模住宅用地(200㎡以下) | 1/6 | 1/3 |
一般住宅用地(200㎡以上) | 1/3 | 2/3 |
この住宅用地の税軽減措置を駐車場でも利用することができれば節税になると言えます。
『住宅地の近くに駐車場』もしくは『駐車場近くに住宅となる建物を置く』ことで駐車場が住宅用地として認められれば前述した税軽減措置を受けることができるというわけです。
砂利敷きからアスファルト舗装に変える
アスファルト舗装に適応される税軽減措置は申告期限があるので注意が必要です。
また、これは現在のあなたの所有地が『相続された土地だった場合』に適応される税軽減措置です。
貸付事業用宅地等に該当する場合、200㎡までの規模の評価額が50%減額されるのです。
この特例の適用を受けるには、被相続人の事業の宅地等で以下を満たす必要があります。
1.被相続人の事業を申告期限までに引き継ぎ、かつ、事業を申告期限まで継続すること
申告期限:被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内 提出先:被相続人の住所地を所轄する税務署(被相続人の死亡の時における住所が日本国内の場合)
2.その宅地等を申告期限まで保有すること
申告期限:ご自身が現所有者であることを知ってから3か月 提出先:土地・家屋が所在する区にある都税事務所
つまり、なるべくはやめに相続した事実を税務署に届け出る必要があるということです。
これにより、課税遺産総額(相続財産-基礎控除額)を縮小できます。
償却資産税を150万円以下に抑える
前述しました通り、償却資産額が計150万円以下の場合償却資産税が免除されます。
原則、耐用年数が1年以上・取得価額が10万円以上の固定資産が減価償却資産とされています。
また、償却資産は
例えば、規模にもよりますがフェンスは数万円ので用意できるものから20万円以上かかるものもあります。
個人経営の場合は、償却資産費用は負担することとなりますので、準備するもの中で何が償却資産税に該当すのかチェックする必要があります。
ただし、150万円以下だとしても申請は必要となりますのでご注意ください。
駐車場経営で税金対策するには
本記事では、駐車場経営でかかる税金と節税について解説しました。
駐車場の税金軽減措置は無いため『駐車場は税負担が大きい』というイメージが強いですが、
- 住宅用地の税軽減措置を利用する
- アスファルト舗装する
- 償却資産を150万円以内に抑える
以上をしっかり方策立てて運営することで駐車場経営でも節税は可能です。