駐車場の経営の成功の第一歩は、土地に合わせた正しい経営方式を選択できるかどうかにかかっています。
例えば、周辺施設や住宅、回転率や土地柄など色々な要素が関わることで、駐車場の売り上げを左右します。
しかし、需要調査を怠ったり、経営方式を間違えると失敗するリスクが高まります。フランチャイズ契約で高額なロイヤリティを払う一方で売上が伸び悩む、また直営方式で管理コストが想定以上にかかるといったケースが挙げられます。
本記事では、失敗しないために知っておきたい「経営方式の種類」とその選び方を詳しく解説します。
実際にある失敗例については、以下の記事を合わせてご参照ください。この記事を読むことで、よくある失敗のパターンとその対策を学ぶことができ、今回ご紹介する経営方式の選び方がより明確になります。
駐車場経営(コインパーキング経営)における失敗例とは?対策についても解説→
個人経営方式
個人経営方式とは、土地の整備や設備の設置から、駐車場の管理・運営までを自分で行う方式です。
様々な中間管理依委託の料金を省くことができる為売上が出ればその分利益率の高い商売になります。
また、将来的に土地の活用を見据えていく場合、サイドビジネスから本業を目指す場合など個人で経営することで学ぶ機会も多くなることでしょう。
【メリット】
低ランニングコスト | 駐車場事業者(委託会社)を挟まないため委託料などがかからず、 |
経営経験が積める | 集客アプローチや看板アプローチ、周辺地域調査など必要な経験を情報収集としてこなすことができる。 |
土地転用がしやすい | 駐車場は比較的転用が楽な土地活用で、特に個人経営の場合は間の手続きがグッと少なくなるため、利用者との折り合いがつけば別の用途にすぐに転用できる。 |
【デメリット】
初期費用負担 | 設備投資や契約者募集のための広告の設置など、事業者が初期負担を申し出る形とは逆に初期コストがかかる |
事務処理などの手間 | 開業前、開業後など必要な自治体への登録や、税金の細かい処理などは自身で行う必要がある。また、精算機を含む売上金の管理も自身で行う |
定期の清掃や機器の確認 | 駐車場の清潔さや使いやすさを保つために、清掃や、看板、照明などのチェックが必要となる |
定期的な市場調査が必要 | 周辺の貸し出し価格は実は結構な頻度で変動する為、売り上げに直接かかわる周辺の価格帯チェックが常に必要となる |
トラブル対応 | 場内で発生したトラブルは警察が介入しづらい私有地における「民事不介入」事案となる場合が多いため、基本的には全て自身で適切な対応を判断する必要がある |
個人経営方式最大の争点は「初心者にはオススメしづらい」という点です。
副業としては比較的負担が少なく始められるものの、厳密に調べていくと建物を建てるタイプの土地活用とは違ったタイプの税金の取り扱いであったりなど、初めて知ることも多くなってくるでしょう。
その為、物理的に手軽に始めることはできるが、裏でどの程度リスクがあるかの勉強が欠かせない手法と言えます。
フランチャイズ方式
フランチャイズ方式とは、土地所有者や運営者が既存のブランドやノウハウを提供するフランチャイズ本部と契約を結び、運営のサポートを受けつつも、看板やブランドを利用する形式の駐車場経営手法です。
この方式では、土地所有者が主体的に運営を行いながらも、フランチャイズ本部からのサポートを受けることで、運営の効率化や集客力の向上が期待できます。
【メリット】
ブランド力の活用 | フランチャイズの既存ブランドや知名度を利用することで、集客力が高まりやすい |
運営ノウハウの提供 | 運営に必要なノウハウやシステムが提供されるため、初心者でも比較的容易に運営が可能 |
広告やマーケティング支援 | フランチャイズ本部からの広告支援があり、集客にかかる負担が一時的に軽減される |
サポート体制の充実 | トラブル対応や管理方法についてのサポートがあるため、運営上のリスクが軽減される |
【デメリット】
ロイヤリティの支払い | 売上に応じてフランチャイズ本部へロイヤリティを支払う必要があり、収益が減少する可能性がある |
自由度の制約 | フランチャイズ本部の運営方針や基準に従う必要があり、独自のアプローチが取りにくい |
初期費用がかかる場合がある | フランチャイズ加盟にあたり、契約料や店舗改装費用などの初期費用が発生する場合がある |
ブランドイメージへの依存 | 本部のブランドイメージに依存するため、本部に問題が生じた場合、自店舗も影響を受けるリスクがある |
上記のように、フランチャイズ方式には既存ブランドの活用や運営サポートといったメリットがある一方で、ロイヤリティの支払いや運営方針の制約といったデメリットも存在します。
導入を検討する際には、自社の資金状況や経営方針に合ったかたちでフランチャイズ契約を結ぶことが重要です。
また、フランチャイズ本部のブランドイメージやサポート体制も含めて慎重に検討し、自社にとって最適な経営スタイルを選択することが求められます。
管理委託方式
管理委託方式とは、土地の権利はオーナーであるあなたのモノのまま管理だけ駐車場事業者などの外部の会社に委託する方式です。
個人経営と比較して利益は減りますが、管理を一任できるため遠隔地での経営や副業での経営をしたい方にピッタリです。
【メリット】
管理の手間が省ける | 個人経営でのしかかってきた細々とした面倒な業務を管理会社に委託できる |
遠方の土地でも経営できる | 日常の管理業務をする必要がないから場所は問わない |
トラブル対応の軽減 | 基本的にはオーナー側では放置経営となる為、フランチャイズ方式と比べてもさらにトラブル対応などの負担割合が軽減する |
【デメリット】
管理委託料が多くかかる | ほぼすべての内容を丸投げしてしまう為、管理委託料の割合がおおくなり、利益は減少する傾向にある |
フランチャイズ方式から一歩踏み込み、全てを丸投げしてしまう方式です。
基本的なメリットデメリットはフランチャイズ方式とほぼ同じとなっていますので、大きく変わるところの未記載しています。
大きなメリットはこちらで実際にすることがかなり圧縮できる点で、時間のない土地オーナーに向いています。
また、フランチャイズ方式が実質管理委託方式となっていることもあります。
管理委託料はピンキリなので駐車場事業者は多くの会社から比較検討することをおすすめします。
一括借り上げ(サブリース)方式
一括借り上げ方式とは、土地を運営・管理会社に貸し賃料として収益を得る方式です。サブリースという場合もあります。
良くも悪くも安定益となるため駐車場経営について知識が乏しい方や副業として始めたい方にピッタリです。
初期費用ナシ | 土地ごと貸し出す方式なので基本的には駐車場事業者が初期費用を負担する。 |
管理の手間ナシ | 運営会社がオープンからその後の運営まですべてをやってくれるため手間がかからない。 |
収入安定 | 借り上げた企業が賃料として定額を支払う為、駐車場の稼働率に関係なく一定の収入を得られる。 |
デメリット
収入の増額がない | いくら稼働率が高くなり、売上が上がっても貸し賃料は一定額のままなので収入は上がらない。 |
一括借り上げは土地オーナー側の実入りを固定する方式です。
土地に対して事業者側では様々な工夫を凝らして売り上げを上げようとしますが、そのコストは事業者が負担します。
売り上げが多く発生した場合、事業者はその分利益を増やせるという形です。
オーナー側のメリットはまったく経営に関与しなくてよいという点と、固定収入を得ることができる点です。
方や事業者側のメリットも、コストを算出しやすくなったり、結果的に長期契約になりやすく長期投資を見据えて経営をコントロールできることにあります。
コインパーキングが適した土地などでは、オーナーの利益が目減りしてしまう可能性がある為、管理委託方式の方がメリットになることが多いですが、全体的な動きが不安定な土地では一括借り上げしてもらい、安定収入を得る方が適切と言えるでしょう。
失敗しないために!ベストな経営方法を
今回は、駐車場経営の4つの方式をご紹介してきました。
本業に近い形でしっかりと収益を上げつつ利益率を追求したいのであれば個人経営方式、 副業として駐車場経営をしたい方には管理委託方式と一括借り上げ方式がおすすめです。
判断が全くつかないが、遊んでいる土地がもったいないと思う場合は、一括借り上げなどで依頼を出して、手を上げてくれる業者に任せるのが最も安定です。
まずは自身の土地がどの様な立地にあり、周辺ではどのような駐車場が不足しているのかを観察してみるのもよいでしょう。
例えばコインパーキングが不足して居そうと感じる場合は、管理委託方式で有名な駐車場事業者の看板を掲げてもらうのがベターな選択となる場合もあります。