コインパーキング経営に必要な法的手続きや資格とは 営業の届け出方法

駐車場経営

コインパーキング経営を始める上で障壁となるのが。「法律はどの程度関わってくるのか?」「資格は?」「そもそも営業の届け出ってどんな扱い?」などなど、日常では判断のつき辛い疑問です。

本記事ではそんな、経営前につまずく疑問をそれぞれのテーマに沿って丁寧に解説していきます。

駐車場経営に必要な届け出と進める際の注意点

駐車場経営、特に土地オーナーができるものとしては基本的に「月極駐車場」と「コインパーキング」があります。

駐車場を経営する場合、用途と面積、料金の徴収の有無などによって「届出駐車場」という分類に該当する為、所属する自治体に所定の内容の届出を行わなければなりません。

このうち「月極駐車場として運用」される場合は基本的に届出の必要がありません。何故ならば「一般公共の用に供する駐車場」という要件で月極駐車場は特定利用者の為のものと解釈されている為となります。

参考:東京都駐車場法等に基づく路外駐車場の届出制度について

駐車場の届出要件

では、基本的な届出要素にはいったいどのようなものがあるのでしょうか。まず、下記のような基本要件が挙げられます。

  • 一般公共の用に供する駐車場:月極駐車場や社員専用駐車場、プライベート専用駐車場は該当しない。
  • 駐車場面積が500㎡を超えるもの:参考として駐車面積が10台分以上確保できていると大体この要件を満たす。
  • 利用料金を徴収する:料金が発生しない無料開放などでは、この要件を満たさない。
  • 構造及び設備の基準を満たす:
    1.自動車の出入口の設置場所及び構造等
    2.車路の幅等
    3.換気、照明、警報装置等
  • その他:都市計画法に準ずる内容

届出要件を満たせない場合は当然却下となりますが、届出が自治体に受理されない場合は正しく運営活動をすることができません。

また、届出が必要な要件を持っているにもかかわらず届出を出していない場合は罰則が科されることがあります。

「駐車場法」においては、次のような罰則規定があります

  • 無届出の罰則
    「駐車場法」第12条に基づいて、届け出が必要な駐車場を管理している者が、正当な理由なく届け出を怠った場合には罰則の対象となります。具体的には、10万円以下の過料が科されることがあります。これは、都道府県知事または市町村長への届出が義務付けられているにもかかわらず、届出を行わない場合に適用されます。
  • 不正な届け出の罰則
    虚偽の内容での届出や、届出後に変更があった場合にそれを報告しない場合も、罰則の対象となりえます。

一般公共の用に供する駐車場

「一般公共の用に供する」とは、駐車場の利用者が不特定多数の一般の人々であり、利用目的に特定の制限を設けずに開放されていることを意味します。この条件に該当する駐車場は、次のような特徴があります:

  1. 不特定多数の利用者を対象
    施設の利用者や特定の契約者に限らず、誰でも自由に駐車できることが条件です。これには、料金を徴収する場合や無料で提供される場合の両方が含まれます。
  2. 商業施設や公共施設に付随する駐車場
    ショッピングセンター、病院、公共のイベントホールなどに付随して設置されている駐車場も含まれます。これらの駐車場は、施設を利用する不特定の人々に対して開放されているため「一般公共の用」に該当します。
  3. 駐車料金の徴収の有無
    駐車料金を徴収しているかどうかは、「一般公共の用に供するかどうか」には直接関係しません。したがって、時間貸し駐車場(コインパーキング)や市営駐車場も該当します。

500㎡以上の駐車場

500㎡以上の駐車場を経営するという規定は、大規模な駐車場が周辺環境や交通に与える影響を考慮して設けられています。

届出が必要な駐車場の条件は以下の通りです
・自動車の駐車の用に供する部分の面積が500㎡以上
・駐車台数が20台以上(10台でほぼ要件を満たしている)

ちなみにこの判定には通路などの別途面積は含まれません。あくまで、駐車スペースになっている部分を持って算出されます。

利用料金を徴収する、しない

利用料金の徴収は時間による積み上げ方式と月極の様な月間で決められた料金を徴収するタイプの大きく二つに分かれます。

対して、無料で提供される駐車場、または特定の利用者(病院の患者や施設の利用者など)にのみ開放される駐車場は、基本的に「一般公共の用に供する駐車場」としての取り扱いにはなりません。そのため、駐車場法で定める「届出駐車場」としての届出義務も発生しないことが多いです。

構造及び設備の基準を満たす

1. 駐車場法施行令(第8条)における基準

施行令第8条では、駐車場の構造や設に関する技術的な基準が規定されています。たとえば、次のような内容が含まれています

  • 車路の幅員基準
    駐車場内の車路(駐車場の出入口から駐車スペースまでの道路)の幅員について、双方向通行の場合は5.5メートル以上、一方通行の場合は3.5メートル以上とする必要があります。
  • 出入口の設置基準
    駐車場の出入口については、周囲の交通の安全性を確保するため、適切な視認性と幅員が求められます。

2.駐車場法施行規則(第10条)における設備基準

施行規則第10条では、駐車場に設置される設備に関する基準が規定されています。特に、次のような内容が含まれています:

  • 駐車マスの寸法
    駐車スペース(駐車マス)の幅や奥行きについて、車両が安全に駐車できるような最低限の寸法が定められています。これにより、利用者が車を駐車する際の安全性が確保されます。
  • 照明設備の設置
    駐車場の利用者の安全を確保するために、夜間の利用を想定した適切な照明設備の設置が求められます。

3. 排気ガス対策

駐車場内の換気に関しても、排気ガスが滞留しないようにするための換気設備の設置基準が定められています。特に、地下駐車場や機械式駐車場では、一定の排気基準を満たす必要があります。

法律の引用

  • 駐車場法施行規則:昭和33年建設省令第22号
  • 駐車場法:昭和32年法律第106号
  • 駐車場法施行令:昭和33年政令第321号

都市計画区域内での注意点

  1. 都市計画区域とは?
    都市計画区域は、都市の健全な発展と秩序ある土地利用を図るために、都市計画法で定められた区域です。この区域では、建築や土地利用についてさまざまな規制や基準が適用されます。都市計画区域内における駐車場の設置には、以下の点に注意が必要です。
  2. 都市計画区域内での駐車場設置における注意点
    都市計画区域内で駐車場を設置する場合には、次のような注意点があります。
  3. 用途地域による規制
    都市計画区域内では、用途地域が定められています。駐車場を設置するには、その用途地域に応じた規制を守る必要があります。たとえば、商業地域や工業地域では大規模な駐車場が認められやすい一方、住居地域や第一種低層住居専用地域では、騒音や交通量の影響を考慮して駐車場の設置が制限されることがあります。
  4. 敷地の面積基準や建築基準
    都市計画区域内の駐車場設置では、面積や構造に関する基準があります。たとえば、敷地内で駐車スペースを設ける場合、その面積や車路の幅員などが規定されています。また、駐車場の設置には建築基準法や駐車場法による基準を満たす必要があります。
  5. 景観や周辺環境への配慮
    都市計画区域内では、景観計画や景観条例が定められている場合があります。特に、観光地や歴史的建造物の周辺では、景観保護の観点から駐車場の設置が制限されることが多いです。駐車場を設置する際には、景観や周辺環境への影響を考慮しなければなりません。
  6. 交通安全基準の遵守
    都市計画区域内では、駐車場の設置場所によって交通の安全性に関する基準も設定されています。特に、出入口の配置や車路の幅員、歩行者の安全確保など、交通の安全性を確保するための配慮が求められます。
  7. 自治体ごとの違いについて
    都市計画区域内の規制は、都市計画法や建築基準法といった国の法律に基づいていますが、具体的な運用や細かい基準については各自治体によって異なることがあります。特に、以下の点で自治体ごとに規制が異なる場合があります:
    ・用途地域の詳細な指定や、用途制限の運用
    ・景観保護や環境保全に関する基準
    ・交通安全対策や住民への配慮の強化
    たとえば、東京都と地方都市では、景観や交通の観点からの規制の厳しさが異なる場合が多く、また、商業地区での利用規制や騒音・環境対策に関しても、地域特性に応じて条例やガイドラインが定められていることが一般的です。

駐車場経営の許可申請手続き

駐車場の届出関する要件が確認出来たら次に関連書類の確認を行っていきましょう。

申請書類の準備

まず、駐車場設置許可申請書が必要です。この申請書には、駐車場の所在地や面積、収容台数などの基本情報を記入します。

次に、土地の登記簿謄本や公図などの添付書類が求められます。これらの書類は、駐車場用地の所有権や境界を確認するために重要です。

また、駐車場の設計図面も必須です。設計図面には、駐車スペースの配置や進入路、排水設備などの詳細を記載します。

さらに、周辺道路との関係を示す見取り図や、駐車場の管理方法を説明した書類なども準備が必要です。

これらの書類を漏れなく準備することで、スムーズな申請手続きにつながります。不明点がある場合は、申請先の自治体に確認することをおすすめします。

申請先と提出方法

コインパーキング経営の許可申請は、主に地方自治体の都市計画課や建設課に提出します。申請書類の提出方法には、窓口での直接提出と郵送による提出があります。

窓口での直接提出の場合は、事前に予約が必要な自治体もあるため、確認が必要です。担当者と直接やり取りができるメリットがあります。

郵送による提出では、書類の不備を防ぐため、事前に電話で確認することをおすすめします。配達記録が残る方法を選ぶと安心です。

オンライン申請システムを導入している自治体もあります。手続きが簡素化され、24時間申請可能な利点があります。

申請先や提出方法は自治体によって異なるため、事前に確認することが重要です。

許可取得後の注意点

コインパーキング経営の許可を取得した後も、いくつかの重要な注意点があります。これらを守ることで、トラブルを未然に防ぎ、安定した運営を続けることができます。

まず、定期的な設備点検が欠かせません。駐車場の設備は常に良好な状態を保つ必要があります。特に精算機や車止めなどの機器は、故障すると利用者に不便をかけてしまいます。

次に、適切な料金設定と表示が重要です。料金は周辺相場を考慮しつつ、利用者にとって分かりやすい金額に設定しましょう。また、料金表示は明確で見やすいものにする必要があります。

さらに、清掃や除雪などの日常的な管理も大切です。きれいで使いやすい駐車場は、リピーターを増やすことにつながります。

最後に、地域住民との良好な関係構築も忘れてはいけません。騒音や交通量増加などの問題に配慮し、必要に応じて対策を講じることが求められます。

これらの注意点を守ることで、コインパーキング経営を円滑に進めることができるでしょう。

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